ギャンブル中毒回顧録 第2話

1.初めての女子とお泊り

1.初めての女子とお泊り

2人でモントリオール行きのバスに乗り込んだ。

7時間を超える長旅だ。バスの道中、我々は隣に座った。

指定席は違ったものの、たまたまソフィアの隣に他の乗客が座っていなかったので、私が隣に座り、ときに旅の会話で盛り上がり、ときに一緒に車窓を眺めながら沈黙を楽しむなどして一緒の時を過ごした。

モントリオールに着いた頃には既に日は暮れかけようとしていた。

「今日の宿はどうするの?よければ一緒に探さない?」と私は聞いた。
既に、バスの会話で彼女がまだ宿を予約していないことは知っていた。

彼女は、同意してくれた。断る理由もなかったのだろう。

モントリオール駅近くに、かなり予算オーバーだがそれなりに手頃のホテルがあった。

いつもならもっと安いホテル、それこそ移動費も込みで、最安値の宿を探す努力をしていたが、移動で疲れていたというより、疲れているかもしれない彼女を気づかって私はそこに宿泊することにした。

我々がフロントで部屋の詳細を尋ねると、シングルもツインも空いてるとのこと。

そこで私は勇気を出して、「節約のためにツインにしない?俺が出すよ!」と彼女に尋ねた。彼女は、少し悩んでそうしようと言ってくれた。

今日出会った女性とツインとはいえ同じホテルに泊まる。こんな経験は初めてだった。もちろん、手を出す勇気なんてなくて、ひたすら紳士であろうとした。

そして、ホテル近くのレストランでパスタを食べて、何事もなく夜は更けていった。

2.モントリオール

2.モントリオール

モントリオールは北米のパリと呼ばれる、おとぎ話にでてくるような美しい町並みだった。

ただそれ以上にソフィアは美しかった。

アメリカ大陸を旅する間、ネイティブの早すぎる英語発音とアジアでの旅で培った自分の英語力の無さに打ちのめされて、誰かとコミュニケーションを取る時間はどんどん減っていた。
それでも誰かと触れ合う時間を渇望していたのだろう。ソフィアとの時間は、さながら砂漠に降る雨のごとく、私の心を満たしていった。

ノートルダム大聖堂、モントリオール美術館、聖ジョゼフ大聖堂。

交通費も食費もホテル代も観光代も全て私が負担した。そして血迷っていた私は、ついに彼女にプレゼントまでした。

渡したのはティファニーのネックレス。日本円にして約3万円。ただ彼女の笑顔が見たかった。夕飯時にワインを飲みながら、似合うと思ってと、彼女にティファニーの箱を渡すと彼女は喜んでその場でつけてくれた。

財布は急速に薄くなっていったが、私は幸せを謳歌していた。

3.トロントへ

3.トロントへ

アルバイトで必死でためた100万円。半年は旅しようと思っていたがもう1ヶ月と少ししかたっていないのに、モントリオールを出発するころには残金はもう50万円ほどになっていた。

前にも書いたが、いつもの旅なら、月10万円ちょっとで生活できていたはずだった。しかし、私は幸せだった。

この旅が想定よりかなり早く終わろうと、ソフィアと一緒にいられたらそれでいいと思っていた。

モントリオールからトロントへのバスのチケットはもちろん私負担だった。

約10時間の道中、彼女が眠りこけて、私の肩を枕としてスヤスヤと寝だした。

私は彼女の髪をなでると、もういつ死んでもいい。。。そんなことを考えながらじっと車窓を、そして窓に映る私の肩に寄り添う彼女の寝顔を眺めていた。。。

いつまで一緒にいられるんだろう。イタリアで就職するのもありかな。

学生だった私はそんなことを考えていた。バスはトロントへとひたすら進み、広大なカナダの田園風景を私に見せつける。

この旅が終わるまでは、ソフィアと一緒にいよう。終わったあとも一緒にいよう。

「ね?そうしようね?」

寝ているソフィアにそう語りかけていた。もちろん、返事はない。