オマハホールデムのルール解説

1.オマハホールデムとは

1.オマハホールデムとは

オマハホールデムとは、世界的に主流となっているテキサスホールデムから派生したポーカーゲームで、テキサスホールデムの次にポピュラーになっているゲームです。
テキサスホールデムではそれぞれのプレイヤーに2枚のホールカードを配りますが、オマハホールデムでは4枚のホールカードを配ります。プレイヤーは配られた4枚のホールカードから「2枚」と、オープンされる5枚のコミュニティーカードから「3枚」を使い強い役を作ることを目指します。

ゲームの流れや手役の強さはテキサスホールデムと同じですが、ルールや戦略はテキサスホールデムとは異なってくるので、この記事ではそこを中心に解説していきます。

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2.テキサスホールデムとの違い

2.テキサスホールデムとの違い

プレイヤーは必ずホールカードから「2枚」、コミュニティーカードから「3枚」のカードを使わなければいけません。
テキサスホールデムプレイヤーがオマハホールデムをプレイして一番多く勘違いミスをするのはここです。

例えばこんなコミュニティーカードとホールカードを持っていたとします。

この場合、テキサスホールデムの場合ではAハイの1枚フラッシュが完成しますが、オマハホールデムではホールカードから必ず2枚を使用しないといけないのでフラッシュは完成しません!
この場合はホールカードからTと5、コミュニティーカードから10/7/5を使ってTと5の2ペアという役になります。
つまり、オマハホールデムではホールカードに同じスーツのカードが2枚以上なければフラッシュの役は絶対に完成しないということになります。

また同様にストレートに関しても、1枚ストレートというのは存在しませんので以下のようなボードであってもストレートではありません。

この場合もテキサスホールデムであればJハイストレートが完成しますが、オマハではホールカードから必ず2枚を使用しないといけないのでこの場合の役は、AKT98のAハイとなります。

3.ポットリミットとは

3.ポットリミットとは

オマハホールデムは通常PLO(Pot Limit Omaha)と呼ばれプレイされます。このPot Limitとはどういうことかをここでは解説します。
簡単に言うとベットサイズがポットの額までしか打てないという制限があるということです。ちなみにテキサスホールデムはノーリミットテキサスホールデムと呼ばれることが多く、ノーリミットの文字通りベットサイズに何の制約もなく、好きな額をベットすることができるということになります。

ではポットサイズというのはどういったことかを具体的に見ていきましょう。簡単な例からの説明です。

①プリフロップのレイズ
上述の通りオマハにはレイズ額に制限があります。
レイズ額を求める基本数式は以下の通りです。この基本数式が頭に入っていればレイズ額の算出は簡単なので、オマハをプレーするならこの数式を頭に叩き込みましょう。

ベット額×3+ポットの中の額(場に出ているチップの額)

ケース1:自分が最初にレイズする場合
BBに対してのレイズとなるのでBB額×3+SBの額が最初にベットできる金額になります。

基本数式に当てはめると以下のようになるわけです。

ベット額(=BB額)×3+ポットの中の額(=SB)

したがって2-5のオマハの場合は、5BB×3+2BB=17BB が最初にベットできる金額の上限となります。なお、ミニマムベットはテキサスホールデムと同じ考え方なので10BBとなります。

ケース2:他者のレイズに対してリレイズする場合
既に誰かがレイズしている場面で、リレイズする場合のベット上限は以下の通りです。

他者のレイズ額×3+BB額+SB額

基本数式に当てはめると以下のようになるわけです。

ベット額(=他者のレイズ額)×3+ポットの中の額(=BB+SB)

2-5のオマハで、誰かが12BBにレイズしたケースを想定すると、
12BB×3+5BB+2BB=43BB がレイズの上限額となります。なお、ミニマムレイズはテキサスホールデムと同じ考え方なので19BBとなります。

ケース3:自分の前にレイズが入り、コールしているプレイヤーがいる場合
既に誰かがレイズしていて、かつ、コールが入っているケースを想定します。

他者のレイズ額×3+レイズ額×コールしているプレイヤーの数+BB額+SB額

このように記載すると複雑ですが、基本数式に当てはめると簡単になります。

ベット額(=他者のレイズ額)×3+ポットの中の額(=コールしているプレイヤーが入れている額+BB+SB)

2-5のオマハで誰かの15BBのレイズに2人のプレイヤーがコールしたケースを想定すると、
15BB×3+15BB×2+5BB+2BB=82BB がレイズの上限額となります。なお、ミニマムレイズはテキサスホールデムと同じ考え方なので25BBとなります。

②フロップ以降のベット
フロップ以降ベットするときにはその時ポットとして集められている額がベットできる最大の額になります。30BBのポットがある場合には最大で30BBのベットができます。

③フロップ以降のレイズ
フロップ以降もプリフロップと同様にレイズ額を求める基本数式は以下の通りです。この基本数式をベースに解説していきます。
ベット額×3+ポットの中の額

ケース1:ポットに50BB入っていて、前の人が30BBのベットをした場合
最大レイズ額は30BB×3+50BBとなり、ミニマムレイズは60BBです。60BB~140BBの範囲でレイズが可能です。

ケース2:レイズにコールした人がいた場合
レイズ額×3+レイズ額×コールしているプレイヤーの数+ポットの中の額

もしポットに50BB入っていて30BBのベットが入り、自分の前に2人のコールが入った場合の最大レイズ額は
30BB×3+30BB×2+50BB=200BBとなり、ミニマムレイズは60BBとなります。60BB~200BBの範囲でレイズが可能です。

④レイズ額がわからない場合
もしプレーをしていてポット額が分からない場合はポットはいくらですかとディーラーに確認しても問題ありません。
またベットの際に「ポット」と言い大きなチップを前に出すとディーラーはポット額を確認して金額を教えてくれますので、その金額のベットになります。

また間違えてポット額以上のベットをしてしまった場合でもディーラーが正しい額(最大レイズ額)に修正をしてくれますので、計算が苦手な方もそこまで気にしなくて大丈夫だと思います。
もちろんこの間違いにペナルティーは発生しませんが、プリフロップの最初のベットに関しては最大レイズ額は明確なので、素人と思われてなめられないようにもしっかり把握していくほうがよいでしょう。

4.役のできやすさの違い

4.役のできやすさの違い

テキサスホールデムではホールカードが2枚配られるのに対して、オマハホールデムではホールカードが4枚配られるため強い役の出来やすさが異なってきます。
テキサスホールデムでリバーまでにそれぞれの役ができる確率は下記の通りです。

確率
ロイヤルフラッシュ 0.0032%
ストレートフラッシュ 0.027%
4カード 0.16%
フルハウス 2.60%
フラッシュ 3.25%
ストレート 4.62%
3カード 4.83%
2ペア 23.50%
1ペア 48.74%

    
つまり、テキサスホールデムでは、ストレート以上の役ができるのはリバーまで開いても約10%となっています。

それに対し、オマハホールデムではリバーまでにそれぞれの役ができる確率は厳密には計算できませんが、体感的にいうと3回に1回以上つまり33%以上の確率でストレート以上の役ができます。
テキサスホールデムではセットオーバーセットは非常にまれですが、オマハホールデムではセットオーバーセットはよく見ますし、フルハウスオーバーフルハウスも非常に多く見ます。ですので、テキサスホールデムでは1ペアの役で勝っていることが多いのに対し、オマハホールデムではナッツ級の役が多く出来るため、自分の持っている役が本当に勝っているかどうかの判断を慎重に行う必要が出てきます。

5.ハンドによる勝率

5.ハンドによる勝率

テキサスホールデムではハンドによる勝率の差は大きくなっています。
ヘッズアップの場合スターティングハンド最強のAAであれば、対ランダムハンドで約85%の勝率を持っています。

それに対し、オマハホールデムでは、スターティングハンド最強といわれる(所説あり)AAJTダブルスーテッドで、約70%となっています。
大した差ではないように思われますがオマハホールデムではスターティングハンドの種類は16,432通りもあり、AAJTダブルスーテッドが配られる可能性はテキサスホールデムのAAが配られる可能性より非常に少なくなります。

筆者自身もオマハホールデムを長くプレイしていますがAAJTダブルスーテッドが配られたことは一度もありません。

オマハホールデムではスターティングハンドランキング上位5%に入るAKQ7ダブルスーテッドのようなハンドでもランダムハンドに対しては勝率約57%となっており、プリフロップ段階ではどのようなハンドでも近しい勝率(エクイティー)を持っています。

つまりテキサスホールデムではプリフロップのハンドを選ぶのが重要になってきますが、オマハホールデムではプリフロップのハンド選びも重要ですが、フロップ、ターン、リバーとコミュニティーカードが増えていく中でのアクション、自分のハンドが本当に勝っているかの判断が非常に重要になってきます。

6.スターティングハンドの強弱

6-1.スターティングハンドの強弱

オマハホールデムではどのようなスターティングハンドが強いのかを紹介します。テキサスホールデムで配られるスターティングハンドの種類は少ない為、どのハンドが強いのか、どのハンドであればどこのポジションから入れるのかを覚えることができます。

上記の表のようなものをテキサスホールデムをプレイする人であれば見たことがあるのではないでしょうか。
それに対し、オマハホールデムでは16,432通りのスターティングハンドがあり全ハンドを覚えるのは不可能であり、スターティングハンドの強弱はハンドの種類毎に覚えていくことになります。
またオマハホールデムはナッツを作るゲームと言われており、ナッツが出来うるハンドで参加するのが好ましくなります。

6-2.強いハンドとは

①スーテッドがあるハンド
スーテッドがあるスーテッドハンドは強いハンドとなります。
なぜかというと、テキサスホールデムとの違いで述べた通りホールカードに同じスーツのカードが2枚なければ、フラッシュという役が作れなくなるからです。
フラッシュという役は非常に強く、ペアボード以外であればAハイフラッシュは最強クラスの役となります。ですのでホールカードにスーテッドが1組あれば強く、2組あればより良いことになります。ナッツになりうるAハイフラッシュを作ることができる、Aのスーテッドがあればより良くなります。(オマハではフラッシュオーバーフラッシュも多々発生するため、より強いフラッシュを作る必要があります。)

例1:強いダブルスーテッド

例2:弱いダブルスーテッド

例3:強いシングルスーテッド

②上のポケットを含むハンド
上のポケットを含んだハンドは強いです。AAのポケットを含むハンドはプリフロップ時点で最強のハンドとなります。プリフロップでオールイン対決となる際には、いずれかはAAを含んだハンドであることが多いです。
フロップ以降も2Wayとかであればかなり強いハンドであることに変わりはなく、トップペアのセットとかになればほぼ最強クラスのハンドとなります。

③ランダウン
ランダウンと呼ばれる連続した数字を持ったハンドも強いハンドとなります。
なぜかというとランダウンのハンドを持っているとストレートの役ができる可能性が高くなるからです。コミュニティーカードに同スーツが3つ以上落ちなければ、ストレートがナッツになる場合が多いです。

例1:ハイカードランダウン

例2:ローカードランダウン

④上記3つの複合系
上記3つの要素を含むハンドが強いハンドであり、この要素を多く複合すればするほどそのハンドの勝ちは上がっていきます。

例1:AA+ダブルスーテッド+半ランダウン

例2:ダブルスーテッド+ランダウン

7.弱いハンド

7.弱いハンド

どのようなハンドが弱いかというと強いハンドの逆の要素を含むハンドでスーテッドが一つもないハンドや上のポケットペアがないハンド、それぞれの数字が離れているハンドは弱いハンドとなります。


スーテッドハンドであっても以下のようにすべて同じスーツのハンド(モノトーンハンド)は弱いです。フラッシュができる可能性はありますが、自分で4枚同じスーツを持っているため、そのスーツがコミュニティーカードとして落ちる可能性が少なくなるからです。

また強いと勘違いされているハンドとしてダブルペアハンドがありますが、強いペアでない限りはそれほど強いハンドではありません。

もちろんその数字がコミュニティーカードとして落ちればセットとなり強くなりますが、オマハではセットオーバーセットは珍しくないため、より大きい数字のセットにまくられる可能性があります。
またフラッシュやストレートなどの役に負けるので、4カードにでもならない限りはナッツになることはないでしょう。

8.まとめ

7.まとめ

オマハホールデムはテキサスホールデムとは異なり、たくさんの役が頻繁にでき、エキサイティングなゲームがプレイ可能です。
テキサスホールデムでなかなかハンドが入らず退屈だなと感じたことがある人、より強い役を作ってみたいと思っている人、一度オマハホールデムをプレイしてみることをお勧めします!